相続コラム

相続税の申告の流れを徹底解説!要否判断・必要書類についても

相続税の申告の流れを徹底解説!要否判断・必要書類についても

相続税は、被相続人の財産を相続した際に納める税金です。相続税の申告は、被相続人の死亡から一定期間内に行わなければなりません。申告手続きには複雑な計算や書類作成が伴うため、自分で行うのは大変です。しかし、適切に申告を行わないと、後々トラブルに発展する可能性があります。

 

本記事では、相続税が必要なケースをはじめ、相続税の申告期限や必要書類の種類、実際の手続きの流れについて分かりやすく解説します。

 

相続税の申告が必要なケース

相続税の申告が必要なケース

遺産額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告手続きが必要となります。

 

■基礎控除額の求め方

相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

※相続人が3名の場合、3,000万円+600万円×3名=4,800万円が相続財産の場合、基礎控除で相続税はかかりません。

 

なお、法定相続人とは民法で定められた一定の範囲の血族や配偶者のことを指し、以下の順位で相続人となる資格が認められています。

 

・第1順位:配偶者、子

・第2順位:父母、兄弟姉妹

・第3順位:祖父母

 

原則として、基礎控除額を超えなければ相続税の申告を行う必要はありません。しかし、以下の特例の適用を受ける場合など、一部のケースでは相続税がかからなくても申告が必要です。

 

  • 小規模宅地等の特例を適用する場合
  • 配偶者の税額軽減の適用を受ける場合
  • 相続財産を公益法人に寄附した場合の非課税の特例を適用する場合

 

相続税の申告が必要なのかどうか、判断に迷った場合は国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」を活用するほか、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

相続税の申告期限

相続税の申告期限

相続税の申告期限は被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内です。たとえば、被相続人が2024年5月15日に死亡した場合、申告期限は2025年3月15日となります。

 

期限内に申告せず、期限後に行った場合は無申告加算税や延滞税等のペナルティが課されてしまいます。また、相続税を安くできる各種特例についても申告期限を過ぎてしまうと使えなくなってしまう点に注意が必要です。相続税の申告期限や間に合わないときの対応については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。

 

■関連記事

相続税の申告期限と納付期限はいつまで?間に合わない時の対応や延長方法

 

相続税の申告に必要な書類

相続税の申告に必要な書類

相続税の申告に必要な書類は、以下のように多岐にわたります。

 

  • 相続人関係の必要書類
  • 遺産分割関係の必要書類
  • 土地・建物関係の必要書類
  • 現金・預貯金関係の必要書類
  • 有価証券がある場合の必要書類
  • 生命保険金(死亡保険金)・退職金関係の必要書類
  • 債務関係の必要書類
  • 贈与関係の必要書類
  • 葬式関係の必要書類
  • 小規模宅地等の特例を利用する場合の必要書類
  • 配偶者の税額軽減を利用する場合の必要書類
  • その他の必要書類

 

上記はあくまで1例であり、添付書類は相続する財産や利用する特例によって異なります。あらかじめ税務署に確認しておくことはもちろん、疑問点があれば早めに問い合わせるようにしましょう。

 

相続人関係の必要書類

相続税申告時に必要となる主な書類は以下の通りです。

  1. 被相続人の戸籍謄本と改正原戸籍
  2. 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
  3. 相続人全員の戸籍謄本
  4. 相続人全員の住民票
  5. 相続人全員のマイナンバー確認書類
  6. 相続人全員の印鑑登録証明書(遺産分割協議を行った場合)※原本

 

なお、「法定相続情報一覧登録図」があれば、上記「1.」~「4.」の書類は不要です。「法定相続情報一覧図」は2017年にスタートした制度で、亡くなった被相続人の相続関係を記載した書類のことを指します。法定相続一覧図を作成の上、法務局で認証を受ければ公的な証明として相続手続きに使えるほか、5年間は無料で写しが交付されます。

 

導入をきっかけに、それまで相続人に重くのしかかっていた取得費用と手間が軽減されたことはもちろん、相続手続きを簡単に済ませられるようになりました。

 

出典:主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例|法務局

 

遺産分割関係の必要書類

遺産分割関係で必要となる書類は以下の通りです。

 

  1. 遺言書
  2. 遺産分割協議書
  3. 印鑑登録証明書
  4. 特別代理人選任の審判の証明書(※特別代理人を立てている場合)
  5. 相続放棄受理証明書(※相続放棄をした相続人がいる場合)
  6. 申告後3年以内の分割見込書(※申告期限内に分割できない場合)

 

このうち、「4.」~「6.」については必要があれば用意しましょう。また、特別代理人専任の審判の請求書については申請してから発行されるまでに1ヶ月程度の時間がかかるため、なるべく早めに申請を済ませることをおすすめします。

 

また、「6.申告後3年以内の分割見込書」は次の3つの条件がすべて揃った場合のみ提出が必要であり、そうではない場合には不要です。

 

  • 相続税の申告が必要な場合
  • 相続税の申告期限までに遺産分割協議が整わない場合
  • 一定の特例の適用を受けたい場合

 

たとえば、被相続人に配偶者がおらず、現金や預貯金しか遺産がないような場合には適用となる特例がないため、分割見込み書を提出する必要はありません。

 

土地・建物関係の必要書類

土地・建物関係の必要書類は以下の通りです。

 

  1. 登記簿謄本(※)
  2. 固定資産評価証明書(※)
  3. 名寄帳(固定資産課税台帳)
  4. 公図または地積測量図
  5. 住宅地図
  6. 賃貸借契約書
  7. 路線価図または倍率表

 

※登記簿謄本、固定資産評価証明書は課税明細書でも可

 

このうち、「1.登記簿謄本」については「全部事項証明書」が必要となるので、注意しましょう。

 

相続税の申告方法・流れ

相続税の申告方法・流れ

相続税申告は、被相続人の死亡から一定の期間内に行う必要があります。ここでは、相続税の申告方法と、その流れについて詳しく見ていきましょう。

 

相続人を特定する

相続税の申告にあたって、まずは被相続人の戸籍謄本を収集し、法定相続人を特定する必要があります。戸籍謄本には被相続人の家族関係が記載されているため、相続人の範囲を確認できます。また、場合によっては複数の戸籍謄本を収集する必要がある点に注意が必要です。

 

相続人の承認を行う

相続の方法として、以下の3つがあります。

単純承認:被相続人のプラスの財産も、マイナスの財産もすべて相続する

限定承認:被相続人のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する

相続放棄:財産の一切に対して相続を放棄する

 

このうち、相続放棄や限定承認を希望する場合、被相続人が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申し立てを行わなければなりません。申し立てをしなかった場合、単純承認をしたものとみなされてしまいます。相続放棄を希望している場合についても、被相続人の財産を使うと単純承認したものと判断される点に注意しましょう。また、相続放棄に関して、相続放棄をした人に子がいる場合であっても、当該子が被相続人の財産を代襲相続することはありません。

 

所得税の準確定申告を行う

被相続人が自営業等で本来、確定申告をすべき人に該当する場合には、相続人の確定後に生前の所得に対する確定申告を相続人が代理で行う必要があります。これを「準確定申告」といい、被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得に対して相続開始日から4ヶ月以内に申告しなければなりません。

 

相続財産の評価・財産目録を作成する

相続税申告前に、被相続人がどの程度の遺産を有していたのか把握する必要があります。財産には現金や預貯金、有価証券、不動産、自動車、貴金属など様々なものが含まれます。財産目録に特定の書式はなく、他の相続人に見せた際に各財産についてどの程度あるのかがわかるようになっていれば問題ありません。記入する際はプラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて記載しましょう。

(※相続開始3年前までに被相続人から受けた贈与および相続時精算課税適用財産も含む。死亡保険金や死亡退職金もみなし相続財産となる)

 

相続税の申告について、不動産などの現金以外の遺産に関しては「相続税評価額」を求める必要があります。評価額の算定には専門的な知識が必要となるため、税理士等の専門家に相談すると良いでしょう。

 

遺産分割協議書を作成する

相続財産の評価が終わったら、各相続人がどの財産を相続するのかについて話し合わなければなりません。これを「遺産分割協議」といい、すべての相続人が参加する必要があります。相続人全員で財産の分割方法を協議し、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書に財産の分割割合や、特定の財産を特定の相続人に分与する内容を記載していきましょう。なお、遺産分割は法定相続分に従うか、あるいは相続人の合意によって別の分割方法を定めることもできます。

(※遺言書があった場合、遺産分割協議書は不要となる)

 

相続税申告書を提出し、相続税を納付する

最後に、作成した財産目録と遺産分割協議書に基づき、相続税の計算と申告を行います。申告期限は、通常、被相続人が死亡した日の翌日から10か月以内です。申告書とともに、納付すべき税額の払込みを行いましょう。

 

相続税の申告を自分で行う難易度とデメリット

相続税の申告を自分で行う難易度とデメリット

相続税の申告を自分で行うことは可能ですが、かなり難易度が高いほか、一定のリスクがあります。

 

【相続税申告の難しさ】

  • 戸籍の収集、相続人の特定が難しい場合がある
  • 財産の正確な評価が難しい(不動産、有価証券など)
  • 相続税の計算が複雑(基礎控除、税額控除など多くの控除項目がある)
  • 必要な書類が多数あり、記載ミスが起きやすい

 

経験と知識がなければ、手順を誤ったり必要な手続きを怠ったりするリスクがあるでしょう。時間やストレスを伴うことはもちろん、税制改正に違反するリスクも少なくありません。そのため、経験がない方は税理士に依頼することをおすすめします。

 

■関連記事

相続税の申告を自分で行う方法・手順を徹底解説!注意点やデメリットも

 

相続税の申告を税理士に依頼するメリット

相続税の申告を税理士に依頼するメリット

相続税の申告を税理士に依頼することで、次のようなメリットが期待できます。

 

専門知識に基づく適正な手続きが行える

税理士は税に関する専門家です。相続関連の法律や税制の知識が豊富であり、申告手続きを的確に行えるほか、記載ミスなどのリスクも低減できます。また、最新の税制改正に対応した対策がとれるのも大きなメリットといえるでしょう。

 

財産評価の適正化に繋がる

財産の評価は相続税計算の基礎となる重要な部分です。税理士なら財産の適正評価について専門的な知見を持っており、過大・過小評価を防げます。特に不動産や有価証券など評価が難しい財産については、税理士に任せることで信頼性が高まるでしょう。

 

節税対策のアドバイスがもらえる

節税は相続人にとって大きなメリットがあります。税理士に相談すれば、様々な節税対策を提案してもらえます。小規模宅地などの特例の活用や配偶者の税額軽減などについて、適切なアドバイスをくれるでしょう。自分一人では気づきにくい対策を専門家に任せられるのがは大きな強みだといえます。

 

トラブル回避や時間の節約に繋がる

遺産分割をはじめ、相続では様々なトラブルが起こることも少なくありません。税理士に依頼することで、トラブル発生時も豊富な経験から的確な対応策を立ててくれるでしょう。自分だけでは解決が難しい問題でも、スムーズに手続きを行えます。

 

また、複雑で面倒な手続きを税理士に任せることで、自分で行うよりも格段に時間を節約できます。煩雑な書類作成などのストレスからも開放されるメリットがあります。プロフェッショナルに任せられる安心感は大きいでしょう。

 

相続税の申告に関するご相談は税理士へ



本記事では本記事では、相続税が必要なケースをはじめ、相続税の申告期限や必要書類の種類、実際の手続きの流れについて分かりやすく解説しました。相続税の申告を円滑に進めるためには、まず相続税の要否判断を行う必要があります。次に、申告に必要な書類を漏れなく準備し、実際の申告手続き、税額の計算と納付に移ります。相続税の申告は非常に複雑であり、個人で全てをカバーすることは非常に困難です。

 

相続税の申告を自分で進めることに不安を感じている場合、税理士に相談してみるのもひとつの手です。相続税に特化している数少ない「川口相続税サポートセンター」では、月50件以上の相続相談を受けている実績があります。過去の事例から照らし合わせて提案ができるのが魅力です。相談は無料でできるため、もし不安な点が少しでもある場合は、この機会にぜひ一度お問い合わせください。

 

監修者 代表 不動産鑑定士・税理士
沖田豊明 プロフィール
講師 代表 不動産鑑定士・税理士 沖田豊明
平成11年に不動産オーナー様・不動産税務の専門事務所として、埼玉県川口市に開業。
不動産と不動産の税務の専門家の両立場から不動産オーナー様の賃貸経営や相続税の申告・税務アドバイスを行っている。
また、最近は自らも不動産賃貸経営を行い、その実務経験を基に、サラリーマン大家さんの不動産投資に関する税務申告やアドバイスを行っている。
円滑な相続・資産承継を目的とした家族信託についても手掛けている。
各税理士会の支部研修等における講師業務も年間約50件程度行っている。
著書:『「地積規模の大きな宅地の評価」の実務-広大地評価の改正点と判例・裁決例 』
共著:『社長の節税と資産づくりがこれ一冊でわかる本』/『相続手続きと生前対策ハンドブック』など