相続コラム

アパートの相続税が払えない場合はどうするべき?正しい対処法を解説

相続税が払えなくて悩むイメージ

アパートを相続した人の中には、相続税が払えない可能性があり、困っている人もいるのではないでしょうか。

 

相続税を払わないままでいると、軽減制度などが利用できなくなるだけでなく、ペナルティや罰金が科される恐れもあるため注意が必要です。

 

そこで、今回の記事ではアパートの相続税が払えない場合の対処法についてまとめてみました。

 

アパートの相続税が払えないとどうなる?

パソコンを見て悩む男性

アパートの相続税が払えない場合、以下のようなデメリットが生じる恐れがあります。

 

  • 税金の軽減制度が利用できなくなる
  • ペナルティとして税金が課される

税金の軽減制度が利用できなくなる

そもそも相続税には税負担を軽くするために控除・軽減制度があります。これらを利用するためには、申告期限を守らなくてはなりません。しかし、申告期限を過ぎたまま相続税を支払わずにいると、これらの制度を利用できなくなります。

ペナルティとして税金が課される

相続税を申告期限までに納付しなかった場合、ペナルティとして以下のような税金が課される恐れがあります。

 

 

課される税金 概要
 無申告加算税 災害、交通・通信途絶など正当な理由がないまま、相続税の申告が期限内になされなかった場合に課税される
 延滞税 定められた期限までに納付がされない場合に、納付が遅れた日数に応じた利息が課される
 過少申告加算税 申告した相続税の金額が不足していた場合に課税される
 重加算税 相続税額を減らすため故意に虚偽の申告を行った場合、あるいは申告自体を行っていない場合に課税される

 

 

上記のように正当な理由なく相続税の支払いができなかった場合、本来ならば支払わなくてよい費用を負担しなくてはなりません。また、支払えない旨の申告書を提出しなかった場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科されることになります。相続税は適切な時期に正しく申告するようにしましょう。

 

アパートの相続税が払えない場合の対処法

アパートの相続税が払えない場合、以下のような対処法を検討するようにしましょう。

延納で分割払いをする

相続税は現金で一括支払いが原則となっているため、資金を確保できず、払えないという状況の人も少なくありません。その場合、例外として本来一括で支払う金額を分割で支払う「分割払い」が認められています。

 

ただし、分割払いを利用する際は「一括納付が困難である」という正当な理由が必要です。よって、安易に分割払いに変更ができない点に注意が必要だといえるでしょう。詳しくは、国税庁のホームページ「№.4211 相続税の延納」をご覧ください。

物納を利用する

相続税を現金で一括納付することが難しく、また分割払いでも支払が困難な場合に限り「物納」で相続税を納めることが可能です。とはいえ、物納は時価で評価されるのではなく、相続税で算出した評価額が基準となります。売却するよりも低い金額で財産を処分することになる点に注意しましょう。物納制度について詳しくは、国税庁のホームページ「№.4214 相続税の物納」をご覧ください。

金融機関からローンを借り入れる

金融機関から納税資金を借り入れることができれば、払えない状況だとしても申告期限までに相続税の支払いが可能です。本来手放したくなかった不動産を売却してローンの返済に充てるといった、最悪の事態を避けることができるでしょう。

注意点として、金融機関から一定金額を借り入れることに伴い、利息が生じます。そのため、返済期間等を考慮した上で細かなシミュレーションを行うことが大切です。

また、各金融機関によって借入の条件は異なるほか、借入を申請したからといって必ずしも認められるわけではありません。

アパートを売却して納税する

相続したアパートを売却して、その資金を納税するという方法もあります。とはいえ、相続したアパートが売却できないケースも少なくありません。また、売却するにはそれなりに時間がかかります。相続税の申告・納付期限は10か月以内と決められているため、買い手が見つからなければ相続税を納付しなくてはならないでしょう。

 

✓不動産売却前提ローンの活用も検討しよう
アパートの売却を前提としている場合、「不動産売却前提ローン」を活用するのも一つの手です。不動産売却前提ローンとは、所有する売却予定の不動産を担保に資金を調達し、当該不動産の売却代金で返済をするローンのことを指します。

 

所有不動産の売却前に必要な資金を調達できることから、相続税の支払いについて心配する必要がないほか、焦って売却をする必要も無いでしょう。また、毎月の返済は原則として利息分に限られるため負担が軽いのも特徴です。

相続を放棄する

相続放棄を選択することで、相続税の支払いが不要になることに加え、借金等のマイナスの財産を相続せずに済むでしょう。ただし、預貯金や不動産といったプラスの財産も相続することができなくなるほか、一度相続放棄の手続きをすると撤回することができません。そのため、相続放棄をするか否かは慎重に判断する必要があります。

 

アパートの相続税が払えない場合の相談は税理士

税理士への相談

アパートの相続税は原則一括で支払う必要があり、中には資金が確保できそうにないと悩んでいる方も多いかもしれません。とはいえ、相続税の支払いが難しいからといって放置したままでいると、さまざまなペナルティが科される恐れがあります。

 

相続税が払えない可能性がある場合、延納や物納などの国の制度を利用するほか、状況に応じて相続を放棄することも検討しましょう。相続税の申告・納税には期限が設けられているため、支払いが困難であるとわかった段階で対処することが大切です。

 

また、相続税の納税にあたっては様々な手続きが必要です。個人では対応しきれない場合は、納付期限に遅れてしまう前にプロに相談するのもひとつの手です。

 

相続税に特化している数少ない「川口相続税サポートセンター」では、月50件以上の相続相談を受けている実績があります。過去の事例から照らし合わせて提案ができるのが魅力です。相談は無料でできるため、もし不安な点が少しでもある場合は、この機会にぜひ一度お問い合わせください。

 

監修者 代表 不動産鑑定士・税理士
沖田豊明 プロフィール
講師 代表 不動産鑑定士・税理士 沖田豊明
平成11年に不動産オーナー様・不動産税務の専門事務所として、埼玉県川口市に開業。
不動産と不動産の税務の専門家の両立場から不動産オーナー様の賃貸経営や相続税の申告・税務アドバイスを行っている。
また、最近は自らも不動産賃貸経営を行い、その実務経験を基に、サラリーマン大家さんの不動産投資に関する税務申告やアドバイスを行っている。
円滑な相続・資産承継を目的とした家族信託についても手掛けている。
各税理士会の支部研修等における講師業務も年間約50件程度行っている。
著書:『「地積規模の大きな宅地の評価」の実務-広大地評価の改正点と判例・裁決例 』
共著:『社長の節税と資産づくりがこれ一冊でわかる本』/『相続手続きと生前対策ハンドブック』など