相続コラム

マンションの相続税評価額とは?利用できる評価減やタワマンでの節税

相続税対策のために現預金を他の資産に替えるなどの方法を考えている方の中には、マンションの購入を検討している方も多いのではないでしょうか。


このページでは、マンションは相続財産としてどのように計算されるのか、マンションの購入は相続税対策に役に立つのか、についてお伝えします。

マンションの相続についての法的な意味を確認

まず、マンションを相続することについて法的にはどのようなことを意味するか確認しましょう。


  • 1マンション所有権の中身
  • 2マンションを相続すると相続税の対象となる

マンション所有権の中身

マンションが何を所有するものかを確認しましょう。 分譲マンションのような不動産のことを区分所有建物といいます。


区分所有建物においては、マンションの一室の独立した部分のことを専有部分とよび、所有権の対象となっています。


また、建物は土地の上に立てられるので、土地についても敷地利用権利があり、分譲マンションの他の所有者と共有している状態になります。


不動産の所有者については不動産登記で確認することが可能ですが、区分所有建物を所有している場合には、不動産登記の表題部に敷地権の割合が記載されています。

マンションを相続すると相続税の対象となる

このマンションですが、被相続人が所有している場合には、相続財産となります。


マンションなどの被相続人の相続財産が相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税の申告・納付が必要となります。


なお、後述しますが、マンションについては小規模宅地等の特例によって、最大80%評価を減額することができる可能性があります。


遺産の大部分がマンションの価額である場合に、この制度の適用によって相続税をおさめなくても良い場合があるのですが、それでも相続税の申告自体は必要ですので、注意をしましょう。

マンションの相続税評価額

マンションの相続税評価額の計算方法を確認しましょう。 マンションは前述したとおり、専有部分と共有になっている敷地利用権という権利があります。


よって、建物部分の評価と土地の評価をそれぞれ別に計算して、それを合算します。

  • 1建物の相続税評価
  • 2土地の相続税評価
  • 3地積規模の大きな宅地の評価
  • 4歩道上空地
  • 5マンションの一部が通路や公園になっている場合
  • 6賃貸中のマンションの相続税評価

建物の相続税評価

建物については、固定資産税評価額が建物の評価の額になります。


固定資産税評価額は、固定資産評価証明書を取得したり、送られてくる固定資産税の課税明細書に記載されています。

土地の相続税評価

土地の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式によって行います。


路線価方式とは、路線価が定められている地域の土地の評価方法で、路線価に土地の形状等に応じた補正率で補正して、宅地の相続税評価を計算するものです。


路線ごとに価格が設定されており、土地の広さにその価格をかけるのですが、土地の形状によっては使いやすさが異なるので、形状等に応じた補正も行っています。


倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地の評価に用いられ、国税庁が発表している評価倍率に土地の固定資産税評価額を乗じて計算します。


路線価方式の場合には、

路線価×マンション全体の敷地面積×各種補正率×敷地権割合


倍率方式の場合には、

評価倍率×マンション全体の土地の固定資産税評価額×敷地権割合

で定めます。


路線価や評価倍率は、「財産評価基準書路線価図・評価倍率表|国税庁ホームページ(URL:https://www.rosenka.nta.go.jp/)」で閲覧することが可能です。

地積規模の大きな宅地の評価

マンションの規模が大きい場合、地積規模が大きな宅地の評価をする場合があります。


三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地については「地積規模の大きな宅地」として評価することになります。


三大都市圏とは、

  • 首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
  • 近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域
  • 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

首都圏整備法2条3項の既成市街地とは、「東京都及びこれと連接する枢要な都市を含む区域のうち、産業及び人口の過度の集中を防止し、かつ、都市の機能の維持及び増進を図る必要がある市街地の区域で、政令で定めるものをいう」とされ、具体的には東京23区・武蔵野市・横浜市・川崎市・川口市のうち一部地域を除いた区域が挙げられます。 「近郊整備地帯」とは、既成市街地の近郊で、首都圏整備法24条1項の規定により指定された区域のことをいい、具体的には東京都では三鷹市の一部地域・立川市など24市2町・埼玉県ではさいたま市など37市12町・千葉県では千葉市や船橋市など23市2町・神奈川県では横須賀市や鎌倉市など19市9町・茨城県の取手市や守谷市など7市3町が含まれます。 近畿圏整備法における既成都市区域は、大阪市・神戸市・京都市の一部とこれらの区域と隣接する堺市、守口市、東大阪市、西宮市、芦屋市、尼崎市の一部です。 近畿整備法における近郊整備都市には京都府では亀岡市など10市4町・大阪府では豊中市、吹田市など32市9町1村・兵庫県では伊丹市、宝塚市など8市1町・奈良県の奈良市など12市15町1村がこれにあたります。 中部圏開発整備法における都市整備区域とは、名古屋市、岡崎市の一部、一宮市、豊田市の一部、刈谷市、瀬戸市、半田市、津島市、碧南市、春日井市、 安城市、犬山市、常滑市、四日市市、桑名市、いなべ市の一部、桑名郡木曽岬町、他とされています。 ただし、次の場合には地積規模の大きな宅地からは除かれます。


ただし、次の場合には地積規模の大きな宅地からは除かれます。

  • 市街化調整区域に所在する宅地(都市計画法34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為ができる区域を除きます。)
  • 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
  • 指定容積率が400%以上の地域に所在する宅地(東京都の特別区においては300%)
  • 財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地

地積規模の大きな宅地に該当する場合には、


路線価地域に所在するケースだと、

路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率などの各種画地補正率×規模格差補正率×地積(㎡)

で計算をし、


倍率地域に所在するケースでは、

  • その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額
  • その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に、普通住宅地区の奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額

のいずれか低い価額により計算します。


規模格差補正率は、

((A)×(B)+(C))÷地積規模の大きな宅地の地積(A)×0.8

で求めます。


(B)・(C)については 三大都市圏に所在する宅地の場合、

地積

普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区
(B) (C)
500㎡以上1,000㎡未満 0.95 25
1,000㎡以上3,000㎡未満 0.90 75
3,000㎡以上5,000㎡未満 0.85 225
5,000㎡以上 0.80 475

三大都市圏以外の地域に存在する宅地の場合には、

地積 普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区
(B) (C)
1,000㎡以上3,000㎡未満 0.90 100
3,000㎡以上5,000㎡未満 0.85 250
5,000㎡以上 0.80 500

歩道状空地

マンションの周りに歩道状の土地があることがあります。


このようなマンションの周りの歩道状空地について、法令上の制約の有無だけではなく、その宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らして、客観的交換価値に低下が認められる場合には、財産評価基本通達24に基づき、

  • 私道として使われている場合には30%
  • 不特定多数の者の通行に使われているときには0%

と評価することが可能です。


客観的交換価値に低下が認められるかどうかは、

  • 都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備されていること
  • 道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであること
  • 居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されていること

の3つの要件から判断します。

マンションの一部が通路や公園になっている場合

大規模なマンションの中には、マンションの一部が通路や公園となっていて、不特定多数の人が使えることがあります。


このような場所のことを「公共公益的施設用地」といい、その分は課税対処から差し引くことが可能です。

賃貸中のマンションの相続税評価

マンションを他人に賃貸している場合には、賃貸人となった所有者はマンションを自由に利用できません。


他人に貸している場合には 土地については貸家建付地として、建物については貸家として評価します。


つまり、

土地の部分については、 マンションの自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)

建物の部分については 、マンションの建物の評価額×(1-借家権割合)

と評価をします。

タワーマンションで相続税の節税を検討するメリットとデメリット

タワーマンションを購入すると相続税の節税の効果があるといわれています。


タワーマンションで相続税を節税するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

メリット1:現預金よりもマンションのほうが相続財産としての評価が低い

現金や預金で資産をもったまま相続が開始すると、資産がそのまま相続財産として計上されます。


しかし、同じ値段でマンションを購入したほうが、相続財産としては評価が低くなります。


たとえば、現預金を5,000万円持っていたとして、その5,000万円で購入できるマンションは5,000万円よりも低い金額で評価されます。


そのため、相続財産を圧縮する効果が生じます。

メリット2:賃貸による評価減・小規模宅地等の特例を適用可能であること

購入したマンションを他人に賃貸すれば、賃貸収益が得られる上に上記のように不動産としては評価減になるので、収益を得ながら節税効果を得ることが可能です。


また、相続人と一緒に住んで、亡くなった後に相続人がそこに住むような場合には、小規模宅地等の特例を適用することができ、節税効果があります。

デメリット1:節税ではなく租税回避行為と見なされる可能性があること

タワーマンションの購入には上記のような節税効果があります。


しかし、本来はタワーマンションは自分の住居のためであったり、住居として貸し出して賃貸収益を得るために利用されるものです。


そのため、病気で亡くなる直前に購入し、相続開始後に相続人がすぐに売却するような場合には、租税回避行為と認定され、時価(=購入時の金額)で評価させられる可能性があることを知っておきましょう。

デメリット2:マンション価格下落で損をする場合があること

不動産を購入した場合全般に言えることですが、不動産はなんらかの原因で価値が下落することがあります。


タワーマンションのような高価な不動産については、景気の影響が最も出やすいといえますし、昨今のコロナによる経済情勢の急激な悪化なども影響します。


埋立地のタワーマンションを購入すると、地震などで地盤に問題が発生すると、景気が回復しても価値は戻りません。


タワーマンションでの節税には、価値下落のリスクがあることは理解しておく必要があります。

デメリット3:評価減が必ず最適な節税になるとは限らないこと

タワーマンションを購入して、資産の評価減を使うことが、必ず最適な節税になるとは限りません。


たとえば、かつては固定資産税が低層階も高層階もすべて一緒だったので、高層階を購入したほうが節税効果が高かったのですが、2017年に改正されて現在では資産価値に合わせた固定資産評価額となっています。


相続税の節税テクニックに対する課税強化は年々強化されており、あるときに節税になっていたものが、後に節税にならないこともあります。


節税は資産の内容や相続人の構成などによって、様々な手段がある中から、その人にあわせた最適なものを選ぶべきです。


マンション・タワーマンションの購入のみで相続税の節税対策を検討するのは望ましくありません。

まとめ

このページでは、マンションを購入することの相続税対策の節税効果についてお伝えしました。


非常に難解でわかりづらいところも多かったと思うのですが、ざっくりというと現金で持っているよりもマンションのほうが節税できる、ということを知っておいてください。


ただし、他にも節税効果の高い方法が存在する可能性はあるので、まずは税理士に相談してみるようにしましょう。